骨のアンチエイジング
  
適度な運動とサプリメント摂取
    
CONTENTS
人はどうして老化するのか
何によって老化は進むのか
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抗酸化成分
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性機能の衰えを防ぐには






骨が老化するとどのようになるのでしょうか。


 
 ■
骨密度の低下

 骨は単にカルシウムから構成されているわけではなく,タンパク質であるコラーゲンやオステオカルシンにハイドロキシアパタイトというカルシウムとリン酸の化合物が沈着したものです。

 人は年をとると,骨密度が低下します。 これはこのコラーゲン,オステオカルシンとハイドロキシアパタイトなどが減少するためです。

 この骨密度が極端に低下すると骨粗鬆症という病気になり,骨折しやすくなります。

 骨密度は思春期から上昇し,20〜30歳のころにはピークに達します。

 加齢による骨密度の減少は程度の違いはあるとしても,避けられることではありません。

 したがって,この思春期にいかに骨密度を高めておくかが,老後の骨粗鬆症を防ぐ有効な手だてになります。

 また,たとえ青年期の骨密度が正常でも,50歳以降の骨の消失スピードが速いと骨粗鬆症になりやすく,この時期にこの低下を抑えることが骨のアンチエイジング対策になります。
 

軟骨組織の減少

 加齢とともに軟骨組織の再生能力は低下します。特に関節部は激しい労働や過度のスポーツなどを続けることにより,すり減ったり,つぶれたりしやすくなります。

 腰や膝関節の軟骨組織が摩耗すると,硬い骨と骨がこすれて表面にとげのような骨棘(こつきょく)ができたり,硬い骨が変形したりして,神経を圧迫したり,炎症をおこしたりします。

 このような結果,背骨がゆがむ,腰や膝が痛む,水がたまって腫れる,関節が動きにくくなるといった症状が引き起こされます。

 このような症状は「変形性関節症」と呼ばれ,65歳以上で急増し,女性は男性のおよそ3倍近くも多く発症します。

 したがってこの軟骨組織の摩耗をいかに抑えるかが,関節のアンチエイジング対策の基本になります。

 

 
 
骨が老化するとどのような病気が起こりやすくなりますか。


 ■骨粗鬆症

骨粗鬆症は高齢者に多い病気であり,骨代謝の異常により,骨の破壊と形成のバランスがくずれ,骨が破壊されるスピードに再生が追いつかなくなるため起こります。

 骨粗鬆症になると,骨に鬆(す)が入ったように,目が粗くなり,骨折しやすくなります。

 よく骨折する場所として,太ももの付け根や,手首,背骨などがあります。

 また,転倒しなくても,弱くなった背骨が体重を支えきれなくなり,骨がつぶれてしまうという圧迫骨折が見られることもあります。

 圧迫骨折が起こると,背中や腰が曲がったり,痛んだり,身長が縮んだりします。



 女性ホルモンには骨を破壊する破骨細胞の働きを抑える作用があります。 

 女性は閉経後女性ホルモンが激減するため,閉経後10年間は年に2〜3%程度骨量が減少するといわれています。

 しかし,男性でも男性ホルモンの一部が女性ホルモンとなって骨に作用しているので,男性ホルモンの低下により骨量は減少します。



 近年の研究により,骨粗鬆症は加齢だけでなく,生活習慣と大きく関わっていることが明らかになりました。

 骨粗鬆症の原因となる食習慣としては乳製品,青魚,豆腐などの食品摂取が少ないこと,アルコールの飲み過ぎ,コーヒーの飲み過ぎなどが考えらます。

 その他の原因として,過度のダイエット,喫煙習慣,運動不足,日光に当たることが少ない生活などもあげられます。

 したがって,これらの生活習慣を見直すことが骨粗鬆症を予防する上で大切です。



変形性脊椎症
 

 背骨の椎間板は足底からの衝撃が頭へ伝わらないようにするクッションとしての機能があります。

 
ところがこの加齢とともにこの機能が低下し,背骨の椎体と呼ばれる部分に圧力が加わり,変形が起こり,骨の先が棘のようになる骨棘(こつきょく)見られるようになります。

 

 この骨棘形成は椎体の老化現象の一つであり,50歳を過ぎるとほとんどの人に見られる変化であり,これだけで変形性脊椎症とはいえません。

 
この骨棘が椎体の周囲の神経を刺激し,腰痛などの症状が現れた状態を変形性脊椎症と言います。

 この骨棘をともなう変形は50歳男性の約80%,女性で60%が見られ,70歳になると男女ともに95%以上に見られます。

 この老化が痛みにつながらないようにするためには,姿勢を正し,背骨を支える筋肉を強化することが大切です。



腰部脊柱管狭窄症
 

 腰部脊柱管狭窄症とは,加齢により脊椎骨が変形し,腰部の重要な神経が通っている脊柱管が狭くなり,神経が圧迫されることによって起こる病気です。

 腰痛やおしり,太もものしびれなどが見られ,一定の距離を歩くことによる足の痛み,しびれ,脱力感などの症状も見られます。

 この症状は上半身を前方に折り曲げて休むとまた歩けるという特徴があることから,間歇性跛行とも呼ばれます。

 腰部脊柱管狭窄症は,加齢に伴って起こる病気であるため,自然に治癒するということはあまり期待できず,徐々に症状が悪くなることの方が多いと言えます。

 治療には,コルセットの着用,鎮痛剤や血管拡張剤,ステロイド剤などの薬物療法があります。

 しかし,重症な場合には,脊柱管を広げるという手術が必要になってきます。


変形性関節症
 
 
変形性関節症とは関節の表面を覆っている軟骨が老化や使いすぎなどですり減り,痛みや運動障害をおこす病気です

 弾力性に富んだ組織から成る軟骨は,衝撃を和らげるクッションの役割を果たし,関節の動きを滑らかにしたりします。

 この軟骨がすり減ることで関節の隙間が狭くなり,やがて,骨と骨がこすれ合うようになります。

 関節軟骨には神経がないので,摩擦による痛みはありませんが,周りの組織が刺激され痛みが起こります。

 これが
一次性変形関節症とよばれるものです。 二次性のものは,交通事故による骨折など,さまざまな外傷により,関節が変形したり,機能障害を起こすものをいいます。

 この変形性関節症は膝関節や股関節などに多く見られ,40代までは男性に多く,40〜50代以降になると女性に多く見られます。

 重労働をしていた人や肥満の人に多くみられるのが特徴で,少年期の激しいスポーツなども原因となります。

 変形性関節症の発生は年々急増し,発生率は女性は男性の2倍となっています。

 治療法としては,内服薬,湿布,サポーターの装着,関節内注射などがありますが,症状が重くなったときには,O脚やX脚を矯正する骨切り術や人工関節置換術などの手術が必要になることもあります。




骨はどうして老化するのでしょうか。

 
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カルシウム代謝の低下

 骨は身体を支えるだけでなく,様々な生理機能を持つカルシウムを保存しておくところでもあります。

 カルシウムの99%は骨や歯に蓄えられ,残りの1%が血液や筋肉などに存在してさまざまな働きをしています。

 血液や筋肉のカルシウムが不足すると,骨や歯に貯蔵されたカルシウムから補給されます。

 カルシウムには,骨や歯を形成する,神経の興奮をおさえる,心臓や筋肉や血管の働きを助けるなどのはたらきがあります。

 したがって,血液中のカルシウム濃度は一定でなくてはならず,不足すると骨から供給されます。

 骨の中には骨をつくる骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞があり,常に古い骨は破壊され,新しい骨がつくられます。これがカルシウム代謝です。
 
 腎臓機能は加齢とともに低下します。その結果尿中にリンを排泄することができないため,血液中のリンの濃度が上昇します。
 
 血液中のリンの濃度が上昇すると,バランスをとるため骨からカルシウムが血液中に溶け出てしまいます。

 また,腸の機能も低下し,カルシウムの吸収率が低下します。以上のようなことが原因で,カルシウム代謝のバランスが崩れ,新しい骨がつくられにくくなるのです。



女性ホルモンの低下
 
 女性ホルモンは閉経により大幅に減少し,それにより破骨細胞のはたらきが促進され骨の老化は促進されます。

 男性の場合も前述したように男性ホルモンの一部が女性ホルモンとなって骨を維持しているため,男性ホルモンの低下とともに骨の老化も進みます。

 また,骨の強度低下は,ビタミンDの不足や,塩分やカフェインの過剰摂取,ストレス,睡眠不足など,生活習慣の影響も強く受けます。

 
 




骨や関節のアンチエイジング対策を教えてください。


 
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骨・関節のアンチエイジング対策その1
  
カルシウム・マグネシウムを摂取しよう


 骨の主成分はカルシウムですので,骨を丈夫にするためにはカルシウムの摂取は必須です。

 カルシウムは,食事で十分な量が摂取できなければ,骨から血液中へと,溶け出してしまいます。 

 さらに体内のカルシウムは汗や尿,便のなかに毎日200mg程度は排泄されています。

 厚生労働省の定めた食事摂取基準によると1日の健康を維持するための目安量はたとえば50歳〜69歳では700mgとされています。

 日本は火山国のため,土壌にカルシウムが少なく,野菜においてもカルシウム分が少なくなっています。

 日本人の平均カルシウム摂取量は1日538mgであり,慢性的なカルシウム不足となっていることが指摘されています。

 さらに問題なことはインスタント食品などの食品添加物として用いられるリン酸塩 の過剰摂取がカルシウムの吸収の阻害をしていることです。

 カルシウムを多く含む食材として,牛乳やヨーグルトなどの乳製品,豆腐などの大豆製品,小魚,青葉などの野菜類があり,これらを豊富に摂ることを心がけましょう。
 
 また,胃腸から吸収されたカルシウムは細胞内に取り込まれます。

 この細胞内からカルシウムを運び出すはたらきをするのがマグネシウムなのです
 
 マグネシウムが不足すると,細胞に取り込まれたカルシウムは細胞外へ出ていけないため,骨はカルシウム不足になってしまいます。

 
したがって,カルシウムだけを摂取しても,マグネシウムが不足していると骨密度は増えることができません。

 
理想とされる摂取量はカルシウム2に対してマグネシウム1といわれています。

 
日本人の食事摂取基準によると,マグネシウムの1日の推奨量は男性340mg〜370mgであり,女性は270mg〜290mgです。

 マグネシウムを多く含む食品としては,納豆,豆乳,木綿豆腐,アーモンドなどがあり,これらを努めて食べるようこころがけましょう。




 
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骨・関節のアンチエイジング対策その2
  
ビタミンDを摂取しよう


 ビタミンDは骨をつくるために必要な脂溶性のビタミンです。

 体内に入ったビタミンDは肝臓と腎臓で,酵素のはたらきにより活性型ビタミンDに変わります。

 この活性型ビタミンDがカルシウムの吸収を高め,骨への沈着を促進させます。

 さらにカルシウムの摂取が少ない時には尿に排出されないようにカルシウムをコントロールするはたらきもあります。

 ビタミンDは不足すると骨や歯がもろくなり,骨粗鬆症になります。また,それだけでなく,血管の石灰化が進み,動脈硬化につながります。

 ビタミンDは,サケ,サバ,マグロなどの魚介類に多く含まれる他,天日で乾燥させた干ししいたけなどに豊富にふくまれています。

 ビタミンDは日光にあたることで皮膚でコレステロールを原料に合成することができます。

 高齢になって,家の中に引きこもってばかりいると,ビタミンDの不足から骨粗鬆症になりやすくなります。

 紫外線は活性酸素を発生させ,皮膚の老化を促進させるため,長時間あたることはすすめられませんが,1日10分程度日光を浴びることで,十分に補えます。

 




 
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骨・関節のアンチエイジング対策その3
  
コラーゲン・ビタミンCを摂取しよう

 骨の成分は約70%がカルシウムなどのミネラル分,約10%が水分で,そして20%がコラーゲンやオステオカルシンというタンパク質です。

 確かに骨はカルシウムが最も多い成分ですが,ただカルシウムを摂取したところで,骨は丈夫になりません。

 骨はコラーゲンやオステオカルシンというタンパク質を軸としてカルシウム,リン,マグネシウムなどのミネラルが沈着することにより構成されます。

 したがって,これらのタンパク質を補うことが骨のアンチエイジング対策として重要なのです。

 ある実験では20〜60代の男女10人に1日10gのコラーゲンを3週間摂取させたところ,10人中9人の骨密度がアップしたと報告されています。

 また,コラーゲンは吸収される過程で一度アミノ酸に分解されてしまいますが,コラーゲンはビタミンCによって体内合成が促進されます。

 さらにビタミンCはコラーゲンにカルシウムなどのミネラルが定着するのを助ける作用もあり,コラーゲンとビタミンCは同時に摂取したほうがよいのです。

 これらの成分はサプリメントとして摂取しても,摂りすぎの弊害はほとんど報告されていません。

 



 
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骨・関節のアンチエイジング対策その4
  
ビタミンK・シリカ摂取を摂取しよう


 骨の構成成分であるオステオカルシンはビタミンKが不足すると骨に定着することができません。そこで骨粗鬆症の治療などにはビタミンKが使用されることもあります。

 ただし,ビタミンKはワルファリン(抗凝固剤)のはたらきを低下させることがあるので,ワルファリンとの併用は避けなければなりません。

 ビタミンKは納豆,青汁,クロレラ,スピルリナなどに特に多く含まれています。

 また,シリカとはSiO2(二酸化ケイ素)でSi(ケイ素)とO2(酸素)が結合したものです。

 このシリカは主に血管や骨の周辺の組織に含まれ,必要なカルシウムの吸収を助けます。

 



 
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骨・関節のアンチエイジング対策その5
  
グルコサミンを摂取しよう

 グルコサミンはムコ多糖類の1種で,関節軟骨などの構成成分です。

 関節軟骨は骨どうしをなめらかに動かせるようにしたり,衝撃を吸収するクッションとしての機能を持っています。

 特に加齢とともに増える変形性関節症ではこの関節軟骨がすり減るために起こる痛みなどを伴う病気です。

 多くの臨床試験の結果,このグルコサミンの投与がこの関節軟骨を再生させ,変形性関節の治療や予防に効果的であるとの報告がなされています。

 ヨーロッパの複数の医療機関でおこなわれた変形性関節症120人の患者を対象に行われたグルコサミンの臨床試験では,1日1500mgの高純度グルコサミンを平均50日間摂取しました。

 その結果,関節痛の軽減,運動障害の改善が全体の95%の患者に認められ,多くの患者が健康な軟骨組織と同様にまで回復したということです。

 最近の研究では,グルコサミン自体に炎症を抑えるはたらきがあると報告されています。

 グルコサミンはカニやエビのキチン質を加水分解してつくられるものが多く,甲殻類アレルギーのある人は気をつけましょう。

 最近は植物を発酵させてつくられ,アレルギーをおこしにくいものもあります。

 ただ,若い人が長期間摂取すると,軟骨の再生能力が弱まることもあり,注意が必要です。

 


 
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骨・関節のアンチエイジング対策その6
  
コンドロイチン硫酸摂取を摂取しよう

 コンドロイチンは,ムコ多糖類の一種で,酵素の働きによって硫酸基が結合し,コンドロイチン硫酸として作用を発揮します。

 コンドロイチン硫酸は軟骨に含まれる成分であり,水を引き寄せる働きがあり,組織に保水性や弾力性を与えます。

 その保水性や弾力性は関節などにおいて効果を発揮し,関節の円滑性を保ちます。 
 
 また,カルシウムの代謝に関与し,骨の成長を促し,骨粗鬆症を予防します。

 近年の研究により,炎症を鎮め,痛みを緩和する作用もあることがわかってきました。

 同じ関節の構成成分でもあるグルコサミンと併用するとより高い相乗効果があります。

 しかし,高用量のグルコサミンとコンドロイチン硫酸の併用はワルファリン(抗凝固剤)の作用を強めるという海外の報告もあり,医師との相談が必要です。

 



 
骨・関節のアンチエイジング対策その7
  
運動や体重をコントロールしよう

 肥満体型の方は骨や関節に過度の負担がかかっているので,体重を制限することが大切です。

 とくに膝関節などには,体重の負荷がかかりやすく,変形性膝関節症になりやすいので注意が必要です。

 適度な運動は,骨を丈夫にします。宇宙飛行士が無重力を経験した後,骨がもろくなっていたという話がありますが,これは無重力状態であまり筋肉を使わないため起こります。

 筋肉の運動によって骨に圧力がかかり,刺激をあたえることで骨密度は増加し,骨は丈夫になるのです。

 また,運動により筋肉が鍛えられ強化されれば,骨や関節の負担が減り,痛みなどが緩和できます。

 ウォーキングやストレッチをおこなったり,背筋,腹筋,下半身の筋肉を少しずつ鍛えましょう。

 特に温水プールでの水中ウォーキングや水泳は,骨や関節への負担が少なく,全身運動となりすすめられます。