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免疫力のアンチエイジング
身体を温め,睡眠・運動・リラックス |
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免疫とはどのような働きをしているのでしょうか。 |
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■ 免疫システムの働き
私たちの身体には,ウィルスや細菌が侵入するとこれらを排除しようとする免疫システムがあり,日々活動しています。
免疫の中心は白血球で,免疫細胞とも呼ばれ,骨髄で生産されます。
白血球はマクロファージや樹状細胞などの単球,好中球などの顆粒球,NK細胞やB細胞,T細胞などのリンパ球などに分類できます。
私たちの身体には細菌やウィルスの侵入に対し,2段階にわけて防御する免疫システムが備わっています。
免疫システムの第一段階として,細菌やウィルスが体内に侵入すると,好中球やマクロファージが攻撃を仕掛けます。
しかし,細菌やウィルスがこれらの力だけでは防ぎきれなかった場合,第2段階として,B細胞,T細胞,NK細胞などが攻撃を仕掛けます。
この中のT細胞の1種,ヘルパーT細胞は細菌などを捕食したマクロファージや樹状細胞の抗原提示を受け,キラーT細胞やB細胞に指令を出します。
指示を受けたB細胞は抗体を作り,キラーT細胞はがん細胞やウィルスにとりつき破壊します。
またNK細胞はヘルパーT細胞の指示を受けなくとも,自ら判断してパーフォリン,グランザイムなどの攻撃物質を放出し,細菌などを破壊します。
これが免疫システムですが,加齢と共にこれら免疫細胞の力は低下し,がんや肺炎などの感染症にかかりやすくなります。
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加齢を重ねるとどうして免疫力が低下するのでしょうか。 |
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人間の免疫力は,20歳ころから低下し始め,40才代でピーク時の約半分に,70才代では1/10に減少すると言われています。
■ 胸腺の縮小
T細胞のもとは骨髄でつくられ,骨髄から血管を通り,胸腺という器官でT細胞に成長します。
胸腺は胸骨の裏の心臓の上にかぶさるような位置にある器官です。胸腺は最も若いころから老化する器官でもあります。
人間の場合,20歳代で半分が脂肪に置き換わり,老人になるとほとんどなくなって,脂肪だけが残ります。
したがって加齢とともに,T細胞の生産が低下し,免疫力も低下していきます。
■ 脾臓の縮小
脾臓はリンパ球を生成し,貯蔵する器官で,特にマクロファージなどは数多く蓄えられています。
この脾臓も加齢とともに萎縮し,老年期にはいると青年期の半分ほどになってしまいます。
この脾臓の萎縮によっても,免疫力は低下するといえます。
■ 腸管免疫の低下
腸管の壁にはパイエル板と呼ばれる粘膜があり,そこにはマクロファージや好中球,リンパ球などの多くの免疫細胞が集まっています。
特に中高年からは腸管免疫系が重要な生体防衛の役割を果たしているといわれていますが,この腸管免疫の力も腸内環境の悪化とともに,低下していきます。
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どうすれば免疫力低下を防ぐことができますか。 |
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■ 免疫力低下のアンチエイジング対策その1 抗酸化サプリメントを摂取しよう
免疫系の中枢の一つである胸腺は,活性酸素により萎縮しやすいことが解明されています。
したがって,抗酸化食品,抗酸化サプリメントを摂取することが免疫力を防ぐためにも必要です。
このサプリメントとしては,ビタミンCが有効です。ビタミンCは主要な水溶性抗酸化物質で,酸化障害から細胞を保護するだけでなく,免疫機能を高めるはたらきがあると言われています。
その他にもビタミンCと連携して効力を発揮するビタミンEも有効です。ビタミンEは脂溶性の抗酸化物質として重要で,組織中の活性酸素を消去し,酸化から細胞を守ります。
β−カロテンも抗酸化ビタミンとして優れています。脂溶性ビタミンなので,油で炒めるなど,油脂と組み合せて調理すると効率よく摂取できます。
さらに,近年強力な抗酸化作用を持つことが発見されたアスタキサンチンなどもよいでしょう。
アスタキサンチンは,βカロテン,ビタミンEなどよりも強い抗酸化作用持ち,その抗酸化力はビタミンEの1000倍と言われ,自然界最強の抗酸化物質と言われています。
効能として免疫賦活作用だけでなく,抗がん作用なども発見されています。 |
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■ 免疫力低下のアンチエイジング対策その2
乳酸菌,ビフィズス菌を摂取しよう
世界のなかで長寿者が多いという地方に生活している人には,ビフィズス菌など腸内に有用な菌,すなわち善玉菌が多いということが判明しています。
乳製品として乳酸菌を直接摂る習慣がない地方でも,長寿者が多い地方では食物繊維などの食事が多く,結果として腸内に善玉菌が多いそうです。
腸内から体内に入った乳酸菌やビフィズズ菌は,マクロファージにとらえられます。その結果,免疫細胞が刺激され,免疫力が高まることが確認されています。
腸内の細菌バランスは善玉菌と悪玉菌の拮抗関係にあり,どちらか一方が,増えるともう一方が減っていきます。
したがって,乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌をふやすことが,ウエルシュ菌や大腸菌などの悪玉菌を減らすことになり,これらの菌が生み出す有害物質を抑え,腸の免疫力を保つことになります。
すなわち,ヨーグルトなどの乳酸菌製品,食物繊維を多くとることなどが善玉菌を増やし腸内環境を整えることにつながり,免疫力を維持する上でも重要です。
また,オリゴ糖はビフィズス菌のエサとなり,ビフィズス菌を増やします。
タマネギ,ニンニク,ゴボウなどはこのオリゴ糖がふくまれ,ビフィズズ菌をふやします。
とくにゴボウなどは食物繊維も豊富にふくまれているので,効果的です。
また,ナットウはオリゴ糖を含むだけでなく,ビフィズズ菌や乳酸菌も増やし,O−157などの有害な菌の生育も阻害する優れた食品です。 |
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■ 免疫力低下のアンチエイジング対策その3
キノコを食事に取り入れよう
キノコ類は免疫機能を高めるものが多く,一時期話題になったアガリクスやメシマコブなどに代表されるキノコには,それらに含まれるβグルカンという多糖類がインターフェロンなどの生理活性物質の分泌を促進し,免疫細胞を活性化する作用があると言われています。
実際にカワラタケから抽出された成分は「クレスチン」,シイタケからのものは「レンチナン」,スエヒロタケからのものは「ソニフィラン」と呼ばれ,免疫力を高める効果から,がんに効く医薬品として認可されています。
シイタケ,マイタケ,マツタケ,シメジ,エノキダケなど,普段食用にしているキノコ類のほとんどが免疫力を高めてくれます。
また,キノコには免疫力を高めるだけでなく強い抗酸化作用もあります。これらを日常の食事に取り入れ免疫力を高めましょう。
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■ 免疫力低下のアンチエイジング対策その4
1日1本はバナナを食べよう
近年の研究により,バナナには免疫細胞である白血球を増加させるはたらきがあることがわかりました。
マウスの実験では,マウスにバナナ果汁を接種したところ,免疫細胞である顆粒球,マクロファージ,リンパ球のすべてが活性化していることがわかりました。
また,帝京大学薬学部薬学博士である山崎正俊教授の研究によると,バナナがTNF(腫瘍壊死因子)という物質を増やすことがわかりました。
マクロファージはTNF(腫瘍壊死因子)という物質を出しますが,これが活性化すると免疫力を高めると考えられています。
このバナナの効果はがんの治療にも使われている免疫増強剤(OK432)より,その効果が高いと報告されています。
リンゴやパイナップル,グレープフルーツなどの9種類の果物果汁の接種の実験ではバナナが最も多くTNFを産生したそうです。
このバナナの白血球数増加作用は動物実験の結果ですが,人に対しても効果があることが報告されています。
今後研究が進み,がんに対して効果のある免疫力を高める食材として注目される可能性は十分にあります。 |
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■ 免疫力低下のアンチエイジング対策その5
生活習慣を見直してみよう
免疫力はストレスや睡眠不足などでも低下し,生活習慣に大きな影響を受けます。以下に免疫力低下を防ぐ生活習慣をまとめてみます。
●適度な運動をする
適度な運動は,血流を良好に保ち,NK細胞などの免疫細胞を活性化することができます。
逆に過激な運動は大量の活性酸素を発生させるため,細胞にダメージを与えてしまいます。
●睡眠を十分にとる
睡眠不足は免疫細胞のはたらきを低下させます。十分な睡眠は免疫細胞を活性化させ,メラトニンや成長ホルモンを分泌させ,健康を維持します。
また,どうしても睡眠時間が確保できないという場合,10分から20分の短い仮眠をこまめにとることでも免疫力は回復します。
●笑うことをこころがける
笑うという行為は免疫細胞を活性化するホルモンを分泌させ,特に免疫細胞であるNK細胞を活性化するということが報告されています。
逆に強い悲しみの状態が,続いてうつ状態になると免疫力は低下するということが報告されています。
少しほほえむだけでも免疫力は高められるそうです。日常から笑顔をつくることをこころがけましょう。
●ストレスをためない
精神的なストレスが大きいとT細胞などの増殖力や活性度が減少します。
心の状態によって変動するホルモンや神経伝達物質が免疫細胞の活動に直接影響を与えています。
ストレスは身体に有害な活性酸素を発生させるだけでなく,リンパ球の機能を低下させる副腎皮質ホルモンを分泌させます。
●身体をあたため冷やさない
免疫細胞は体温が高くなると,活性化しますが,低いと十分に活動できません。
風邪をひいたりすると,熱がでるのも免疫細胞を活性化させるための,身体の防御反応です。
おなかの冷えを腹巻きなどで防ぐことで,保温効果があるだけでなく,血流をよくし,自律神経の乱れからくる免疫力低下を防ぐことができます。 常に身体を冷やさないよう注意しましょう。 |
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