耳のアンチエイジング
      騒音を避け,毛細血管の血流改善
CONTENTS
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年を取ると難聴になるのはどうしてですか。


 
 ■ 聴覚細胞の老化
 
 私達の耳の可聴帯域は20Hz〜2000Hzと言われています。
 
 しかし,この範囲の周波数が聞こえるのは20歳代までであり,その後加齢と共に聴力は低下し,特にこの可聴帯域の高音部は聞こえにくくなります。

 一般に50歳を過ぎたころから聴力は急激に低下します。日常会話の周波数範囲は500hz〜4000hz程度ですが,60歳を過ぎたころからこの日常会話の周波数の聴力も低下していきます。

 この聴力の老化は徐々に進行するため,一般には自覚しにくく,日常会話が聞き取りにくくなってはじめて自覚する人が多いようです。

 聴力の老化は個人差が大きく,50歳頃から自覚する人もいれば,生涯支障のない生活をする人もいます。

 耳の老化で最も影響を与えると考えられるのが,内耳にある蝸牛(かぎゅう)と呼ばれる器官に存在する有毛細胞の老化です。

 蝸牛の有毛細胞には,繊毛があり,空気の振動を電気信号に変換し,脳に伝えています。

 この有毛細胞は細胞分裂をしないため,騒音にさらされると磨耗し,一度壊れると二度と再生できません。

 これまで,このような老人性難聴は,中枢神経レベルの障害が大きいと言われたこともありましたが,近年の研究により,やはり蝸牛の血管障害などによる機能の低下が主な原因であることがあきらかになりました。

 難聴が原因で,コミュニケーションが減り,家に引きこもりがちになったり認知症が進行することもありますので対策も必要です。








加齢にともなう難聴のアンチエイジング対策を教えてください。


  
 ■ 耳のアンチエイジング対策その1
    大音量や騒音をさけることで耳を守ろう
 
 前述したように,蝸牛の有毛細胞は一度破壊されると二度と再生できません。

 大きな音にさらされることでこの細胞はダメージを受け,回復できません。

 年齢が若いからといってヘッドフォンステレオを大音量で聴いたりすると聴力は低下し,そのようなことが積み重なると老人性難聴は早めに
現れてしまいます。

 アメリカの研究では,「聴覚障害の75%は老化だけで起きているのではなく,一生にどれだけの騒音に耳をさらしてきたかによるものである。」と報告されているほどです。

 また,職業がら,大音量にさらされやすい人は,耳栓や防音用ヘッドホンで耳を守りましょう。

 



   
 耳のアンチエイジング対策その2
    サプリメントで毛細血管の血流を改善しよう
 
 血流を良好に保つということは,アンチエイジングの基本ですが,老人性難聴の耳の状態は有毛細胞が減少しているだけでなく,毛細血管の血流も悪くなっています。

 老化による難聴ではありませんが,ある日突然めまいや耳鳴りがおこり,聴力障害になる突発性難聴は原因がまだ不明です。これはウィルス感染か,内耳にできた血栓が原因とも言われています。

 また,糖尿病と聴覚障害の関係は,はっきりしていませんでしたが,アメリカ糖尿病学会は糖尿病者は2倍も難聴になりやすいという発表をしています。

 糖尿病患者は失明したり,壊疽を起こしたりすることがありますが,これは血液の粘性が高まり,血流が阻害されるためであり,難聴も同様に内耳の毛細血管をうまく血液が流れないため,起こると考えられます。


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イチョウ葉エキス

 イチョウ葉エキスは,成分として含まれるギンコライドBが血栓をできにくくする作用を持ち,フラボノイド類が過酸化脂質の生成を抑えるはたらきがあります。

 このような効能により,脳内血流の改善作用があり,ヨーロッパでは認知症患者の治療薬として使用されています。

 イチョウ葉のこのようなはたらきは脳血管だけでなく,末梢血管の血流改善作用もあり,血行不良が原因の難聴の改善にも効果があります。

 イチョウ葉エキスは国内外の臨床試験で,突発性難聴,急性内耳性難聴,後天性聴覚神経難聴,加齢性難聴などに効果があるという結果がでています。
 
 イチョウ葉エキスは,副作用もほとんど見られない,安全性の高いハーブですが,アレルギー物質であるギンコール酸が除去されているものがよいでしょう。


 
 ● ヒメツルニチニチ草
 
 ヒメツルニチニチ草はキョウチクトウ科に属する多年草で,日々新しい花に咲き変わることからこのように呼ばれています。

 この植物にはビンカミンという成分がふくまれ,ヨーロッパでは脳血管障害の治療薬として認可されています。

 この成分は脳内の毛細血管の弾力性を高め,血管を拡張し,血流をよくするはたらきがあります。

 さらに,脳の神経細胞にあるミトコンドリアを活性化させ,ATP(アデノシン三リン酸)の生産を増やすことで,脳細胞に活動エネルギーを与え,脳を活性化します。

 ヒメツルニチニチ草はこのように血流の改善と神経細胞の活性化により難聴や耳鳴りに効果を示します。

 ただ,注意点として,この植物を自分で,煎じて飲んだりすると,中毒症状を起こすことがあり,あくまでサプリメントで摂取したほうが安全です。


ハチの子
 
 ハチの子は,アミノ酸,ミネラルが豊富にふくまれ,ホルモン様物質によって人体の内分泌系や自律神経などの伝達系を活性化させる効果があります。

 
特に自律神経失調による難聴,耳鳴り,かすみ目,めまい,不眠症などに効果があると言われています。



  
 ■ 耳のアンチエイジング対策その3
    パワーチップで血行をよくしよう
 
 パワーチップとは,直径1cm以下のリング状の形態をしており,中央に半導体がついたものです。

 このパワーチップは,患部やツボにはることで生体電流が半導体内に集められ,そして放電されます。

 すると生体電流の滞りが解消し,皮膚の温度が上昇するとともに,血流やリンパの流れがよくなり,患部の治癒を促進させる効果があります。

 前述したように,難聴は内耳の血流が滞っていることが多く,このパワーチップを耳のまわりのツボに左右対称にはることで,血流が促進され,突発性難聴や老人性難聴の聴力が回復したと報告されています。

 このパワーチップは,難聴や耳鳴りだけでなく,疲れ目,老眼,近視,肩こり,頭痛などにも効果があります。 



   
 耳のアンチエイジング対策その4
   耳に合った補聴器を使ってみよう
 
 サプリメントなどで難聴が改善すればよいのですが,改善されない場合,補聴器の選択も必要になってきます。

 難聴になったら,早めに補聴器を使用するとよいとされています。

 それは状態がひどくなる前から補聴器を使うことで衰えかけている聴覚の伝達経路を刺激して難聴が進むことを少しでも遅くできるからです。

 老人性難聴になり,普通の話し声が聞きにくくなると,人と話すのが億劫になり,周囲も声をかけにくくなります。

 こうなると,コミュニケーションが減り,脳への刺激も少なくなり,難聴が進んだり,認知症も助長する可能性もあります。


 最近の補聴器は,音を大きくするだけでなく,本人にとって聴き取りやすいよう,高音と低音のバランスなどをデジタル補正できるものも登場しています。


 このような補聴器を使うことで,周りの人との会話を通して聴覚を刺激し,聴覚の老化防止につながるのです。




  
 耳のアンチエイジング最新医療
   有毛細胞は再生可能か?
 
 これまで,有毛細胞は再生が不可能と言われてきましたが,近年の研究により,その再生の可能性が見えてきました。

 有毛細胞は支持細胞という細胞の上に並んでいます。この支持細胞がある信号を受けると,細胞分裂を始め,有毛細胞に変化し,聴覚機能が再生されるということが発見されたのです。
 
 突然耳が聞こえにくくなる突発性難聴に対し,聴覚細胞を再生する世界初の治療研究が京都大病院耳鼻咽喉科の伊藤壽一教授らのグループによって始められました。

  この治療では聴覚細胞が集まる内耳の蝸牛の膜に,細胞の成長を促進させるIGF−1(インスリン様成長因子−1)を含ませたゼリー状のゲルを塗り,細胞を再生させるというものです。

 このIGF−1は細胞分化増殖作用をはじめ,TNFによるアポトーシスの抑制作用,インスリン様作用,免疫増強作用などさまざまな重要な作用をもっています。
 

 この方法は従来のステロイドの大量投与に代わる,安全で効果が高い治療法として期待されています。

 現在はまだ,研究段階ですが,この治療法が確立されれば,難聴患者にとっては朗報となるでしょう。