1950年代のころから富山県の神通川の中流域で発生が確認されたイタイイタイ病はカドミウムによって引き起こされた病気です。 体内に吸収されたカドミウムは骨の主成分であるカルシウムを体外に排出させ,重症患者においては骨の強度が極度に弱くなります。 少しでも身体を動かしたりするだけで骨折し,患者が痛い痛いっと叫ぶため,この名が付けられました。
カドミウムは工業廃水などにも含まれ,食物連鎖により様々な生物により濃縮され,最後には人間の体内に取り込まれることになります。 このカドミウムは体内に蓄積される傾向性がみられ,人では体内に約30年間残留すると言われています。 カドミウムの毒性には先ほど述べたように骨がもろくなる他,肺気腫,腎障害,蛋白尿が見られます。 また,カドミウムは発がん性物質でもあり,環境ホルモンとして,子宮や乳腺を刺激し,女性ホルモンのバランスを乱し,乳がん,子宮がんの原因にもなると言われています。 硫化カドミウムはその鮮やかな色彩から,カドミウムイエローとして紙,ゴム,インクなどの染料として使用されるほか,工業生産の廃棄物として,大気や土壌中にも広く存在しています。
●アルミニウム
アルツハイマー病は,その発症に遺伝要因のみならず,環境要因もが複雑に影響する多因子疾患であると考えられています。 現在アルミニウムがその原因の1つであるという検証はされてはいませんが,アルミニウムに神経毒性があることは疑う余地はなく,アルミが必須元素ではないことを考えると,できるだけ摂取しないよう注意すべきです。
有害化学物質の多くは石油を原料として作られた石油化学物質だといわれています。
石油化学物質は新しい化学物質であり,人体にはもともと必要のない物質で,有害な作用はあっても有益なことはありません。 このような合成化学物質は体内に取り込まれると,がん,臓器障害,脳障害,アレルギーなどを引き起こすと言われています。 私達の身の回りには,様々なプラスチック製品,食品添加物,塗料,洗剤,化粧品など合成化学物質であふれています。 このような合成化学製品は熱に弱く,高温にさらされることで,溶け出してくる可能性もあります。 また,化粧品,シャンプー,パーマ液,毛染め液,石けん,洗剤,練り歯磨きなどに含まれている有害化学物質は皮膚と接触することで,皮膚から吸収されやすいと言えます。
特に,これらの化粧品,シャンプー,石けん,洗剤などには,汚れを落としやすくしたり,泡立ちをよくするため,合成界面活性剤という水と油を融合させる合成化学物質が使用されています。 この合成界面活性剤は皮脂をとかし,皮膚バリアを破壊し,化学物質を体内へ取り込みやすくしてしまいます。 さらにこの合成界面活性剤は水道水の塩素と反応すると環境ホルモンであるダイオキシンを発生させてしまいます。
プラスチック製品の成分には,エストロゲンという女性ホルモンの作用を持つ化学物質が存在します。
肝臓には,取り込まれた物質を身体に利用されやすいよう,様々な物質に変換する作用があります。 それだけでなく,身体に取り込まれた有害物質を無害なものに変換する解毒作用も持っています。
肝臓で無害な物質に変換された有害物質は,血液に送り出され,腎臓で尿として排出されます。 従ってこの肝臓の機能を高めることがデトックスを進める上でとして重要なポイントです。
また,美容外科などで行われている腸内洗浄では,腸内の老廃物や毒素などが排出され,善玉菌と悪玉菌のバランスがよくなり,断食と同じような効果があります。
ケルセチンはポリフェノール化合物の一種で,抗炎症作用があり,肥満細胞(マスト細胞)の感度を鈍らせるため,花粉症にも効果のある成分でもあります。 ケルセチンはタマネギに多く含まれる成分でもあり,重金属を排出するデトックス効果の他,強い抗酸化作用を持っています。
ホウレンソウにもタマネギ同様,有害ミネラルを排出させる作用のあるケルセチンが豊富に含まれています。 ホウレンソウには解毒作用のあるグルタチオンも豊富に含まれています。さらに豊富に含まれるクロロフィルがダイオキシンを排出させるという効果もあります。 ただし,ホウレンソウには腎臓・尿路結石を引き起こすシュウ酸が含まれ,大量に摂ると,体内でカルシウムと結合し,結石ができやすくなります。