脳のアンチエイジング
脳の細胞刺激と脳内血流改善
CONTENTS
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何によって老化は進むのか
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老化した脳は回復しないのでしょうか。


 

病的なものでない限り,老化しても脳の機能は刺激により十分回復します。


 これまで脳の神経細胞は青年期を過ぎると一日10万個のペースで死んでいき,また一度死んでしまったら二度と再生できないといわれてきました。

 ところが,近年の研究により,この考えが間違いであることが分ってきました。

 米国の研究によると脳細胞の分裂や増殖は70歳を越えても行われるということです。

 逆に,強いストレスや鬱状態が脳細胞(とくに海馬)を死滅させることも明らかになってきました。

 少し専門的な話になりますが,大脳は大きく外側の灰白質(かいはくしつ)と,内側の白質に分かれます。

 この灰白質は神経細胞の集合体であり,白質は電気信号の出力繊維である軸索の集合体です。

 老化するとこの神経細胞の減少よりも,この軸索部分の劣化の方が大きいということも解明されています。

 しかし,この白質の軸索部は老化するといっても,成長しピークに達するのは50代だと言われています。

 この軸索部は脳に刺激が送られると,多くの側枝を出して他の神経細胞とネットワークを作ります。

 また,今ある細胞だけでは処理しきれなくなると,海馬の中に新しい神経細胞が分裂して生まれ,記憶を中心としたネットワークが誕生するのです。 
 
 以上のことから,年齢を重ねても訓練を積めば,脳に障害がない限り,十分に脳の機能の老化は防ぐことも,また回復することもできるということが,近年の研究で明らかにされました。

 脳は年齢を重ねても最もアンチエイジングが可能な組織であるとも言えます。

 






脳の老化とともにどのような症状が見られますか。



脳の老化には生理的老化が原因のものと病的老化が原因の老人性認知症(痴呆症)とがあります。

 
 
 生理的な老化
 
 脳は加齢とともに動脈硬化が進んだり,老人班と呼ばれる老廃物が脳内に増加し,脳の神経細胞が徐々に減少していくことや,神経細胞の伝達がうまくいかなくなるなど生理的な老化が見られます。

 このような生理的老化の結果,物忘れが進んだり,新しいことが覚えられなくなったりするという記憶力の低下が見られるようになります。

 これだけでなく,運動反応も低下し,人によってはがんこになる人もいます。

  このような生理的老化は自分の記憶の低下を自覚していますが,一方の認知症(痴呆)は記憶が低下していること自体認識していないことが多いのです。
 
 老化による脳の機能の低下はゆるやかであり,脳に刺激を与えたり,脳内血流を改善することで,回復することができます。


 
 老人性認知症(痴呆症)
 
 脳の老化で急激に神経細胞が減少し,脳全体の機能が保てなくなり,物忘れがひどくなっていく状態は老人性認知症(痴呆症)と考えられます。

 この認知症は,最初は物忘れが目立つ程度ですが,数年の経緯で奇怪な行動が目立ち,最後は人格が崩壊してしまうという病気です。

 加齢による記憶力低下の場合,たとえば見に行った映画のストーリーを思い出せないというレベルですが,認知症になると映画を見に行ったことさえ,思い出せないというほどになると言われています。

 老人性認知症は近年急速に増加し,大きな社会問題となっており,2008年現在,認知症患者数は170万人をこえ,2020年には300万人近くになっていると予想されています。

 老人性認知症は脳血管性痴呆とアルツハイマー病に分けることができます。


 ● 脳血管性認知(痴呆)症
 
 脳血管性認知(痴呆)症は動脈硬化が進み,脳梗塞や脳卒中などの脳の血管障害が原因で起こります。

 血管性認知(痴呆)症は,脳梗塞や脳卒中後に後遺症の形で現れることが多い病気です。

 脳の神経細胞は大量の酸素や栄養物を必要とするので,血管に障害があり,血流が途絶えるとすぐに死滅してしまいます。

 脳梗塞は自覚症状がなく起こっていることもあり,脳梗塞が多いほど,認知症が起こる確率も高くなります。

 したがって,脳内血流を改善し,動脈硬化を予防することが,この病気の予防や進行を抑える上で重要といえます。


 ● アルツハイマー病
 
 アルツハイマー病は,1906年にドイツの精神学者アルツハイマーによって,初めて報告され,このように呼ばれるようになりました。

 この病気は,加齢とともに脳内にβ−アミロイドというタンパク質が脳の細胞に蓄積され,神経細胞が壊れて繊維化し,脳の機能が失われていく病気です。

 大脳皮質の表面には老人斑といわれるアミロイドの沈着が見られ,神経細胞が多数死滅しています。また,女性の方が発症しやすいという特徴があります。

 現在,この病気の原因は解明されておらず,有効な治療法も確立していないため,障害は徐々に進行し,発症してから6〜10年後には生命を失うことにもなる病気です。 

 一部の患者はこのβ−アミロイドの沈着が起こりやすい遺伝子を持っているということが解明されています。

 人体にはアポリタンパクEと呼ばれるタンパクをつくる遺伝子があり,いくつかの型がありますが,そのなかでE4型の遺伝子を持つ人がアルツハイマーになりやすいということも解明されてきています。

 また,アルツハイマー病患者の脳細胞からアルミニウムが健康な人の数十倍の濃度で検出されることから,アルミニウムを原因物質としてあげる研究者もいます。

 アルツハイマー病になると,過去に知っていたことを思い出せなくなったり,新しいことも覚えられなくなり,幻覚症状が起きたりして, 徘徊・睡眠障害などから日常生活に支障をきたすようにもなります。





脳のアンチエイジング対策にはどのようなものがありますか。



脳のアンチエイジング対策には脳内血流の改善,活性酸素の除去,脳神経細胞の増殖が有効です。

 アルツハイマーや脳血管認知症などの病気は専門的な治療が必要になりますが,加齢による脳の機能の低下は防ぐことも,また,ある程度回復することも可能です。

 この加齢による脳の機能低下を防ぐための方法は3つあります。1つめは「脳内血流の改善」,2つめは「活性酸素の除去」,3つめは「脳神経細胞の増殖」です。


 

 
 ■
 脳のアンチエイジング対策その1
   
サプリメントで脳内血流を改善しよう
 
 脳動脈は脳の表面を囲むように伸びて枝分かれし,毛細血管によって脳の奥まで血液を送り届けます。

 血液がドロドロした状態だとこの毛細血管を血液が流れにくくなり,脳細胞が死んでいくことになります。

 このように徐々に細胞が死んでいくことで,気がつかないうちに脳機能の低下をもたらします。

 したっがて脳内の血流を改善することが,記憶力の低下などを防ぎ,認知症の予防にも役立ちます。


 ●イチョウバエキス
 現在,ドイツ・フランスでは老人性痴呆症だけでなく,動脈硬化,肩こり,冷え性,など末梢血管の障害の治療薬として使われています。

 イチョウの葉にはフラボン・カテキンなど20種類以上の成分が含まれています。

 その中でもイチョウに特有のテルペン類ギンコライドには,PAF(血小板活性化因子)を阻害することで血栓を防ぐ効果があります。

 さらに有効成分のフラボノイドには血管拡張作用や抗酸化作用があります。

 これらの薬理作用により,動脈硬化が抑制され,脳血管や末梢血管の血流が改善され,脳細胞が活性化することにより,老人性認知症を防ぐことができます。

 この血流改善作用は脳だけでなく,視神経のある網膜の毛細血管の血流も改善し,視野の欠損を治したり,下肢の血流も改善します。

 サプリメントで摂取する場合,アレルギー作用のあるギンコール酸をできるだけ取り除いたものよいでしょう。


 ●ナットウキナーゼ
 これは納豆にふくまれる成分で,強力な血栓溶解酵素です。
 病院で使用される代表的な血栓溶解剤に,ウロキナーゼという医薬品があります。

 ウロキナーゼは脳血栓症や末梢静脈血栓症の治療に用いられますが,ナットウキナーゼの血栓溶解作用,持続力はウロキナーゼより優れていると言われています。

 ナットウキナーゼの優れている点はタンパク質でありながら,腸管から,血液中に吸収することができるという点です。

 ナットウキナーゼは,酸性の強い胃酸の中では活性を失いやすいため,食事とともに摂ると効果的です。

 また脳血栓症や脳梗塞は夜間就寝中に生じやすいため,夕食時に摂ると効果的です。

 ただし,ワルファリンカリウムという血栓予防・治療薬を服用している場合は注意が必要です。

 納豆に含まれる大量のビタミンKがこの薬の機能を低下させ,逆に血栓などをつくりやすくしてしまうことがあります。


 ●DHA・EPA
 1970年代,イヌイット(エスキモー)には脳血栓や心筋梗塞などの血栓症が非常に少ないことが注目され,研究対象となりました。

 その研究の結果,その血液中に多くのEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)が含まれ,これらが脳血栓や心筋梗塞などの血管に起因する病気の予防に役立っていることがわかったのです。

 DHA・EPAは不飽和脂肪酸とよばれるイワシやサバなど青魚に多く含まれる成分です。

 こららの成分は血流を改善するとともに,これらは高脂血症を改善し,LDLコレステロール値を低下させることができます。

 このような機能によって,脳内の動脈硬化を予防し,脳内血流が改善され,脳の老化を予防できます。

 DHAを大量に摂取したからといって,学習能力が高まるということにはなりませんが,認知症に対する効果は報告されています。

 



  脳のアンチエイジング対策 その2
   
抗酸化サプリメントで脳の酸化を防ごう
 
 LDLはコレステロールを運ぶタンパク質ですが,これらが酸化されると,体内には吸収されず,マクロファージに取り込まれ,泡沫細胞となったマクロファージは血管壁に付着し,動脈硬化の原因になります。

 脳血管の動脈硬化が進むと,脳卒中,脳梗塞などの原因になり,脳細胞も死んでいくことになります。

 したがって,抗酸化サプリメントの摂取により,このLDLコレステロールを酸化させないことが大切です。


 ●
アスタキサンチン
ビタミンE
ビタミンC
 これらはすべて抗酸化作用を持っています。
 
 この中でも特にアスタキサンチンはの抗酸化力はとても強力で,脳関門をも通過することができ,脳内で抗酸化作用を発揮します。

 また,ビタミンEは血行を改善し,アルツハイマー病の予防にも役立つと報告されています。

 ビタミンCは自ら抗酸化作用を持つだけでなく,酸化されたアスタキサンチンやビタミンEをもとにもどし,活性化させるたらきがあります。

 したがって,これらを同時に摂取することは脳血管に対する合理的な抗酸化対策なのです。

 



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 脳のアンチエイジング対策 その3
   
脳神経細胞を刺激しよう
 
 前述した通り,年齢を重ねても脳細胞は刺激により増殖し,神経繊維も発達します。

 したがって,頭を使ったり,手を動かすことで脳細胞へ電気信号を伝えて刺激することが大切です。

 東北大学の研究では認知症の患者に読み,書き,計算をやらせたところある程度回復したということです。

 その他にも趣味などで新しいことにチャレンジするということも脳に刺激が伝えられます。

 楽器演奏や料理,手芸,書道,日曜大工など積極的に手を動かす趣味を持つとよいでしょう。

 今までと同様の決まった仕事をすることは,新しい刺激が加わらないため,脳への刺激も少なく,新たに脳細胞や脳神経が発達しません。できるだけ,新しいことにチャレンジしましょう。

 


 脳のアンチエイジング対策 その4
   
脳神経細胞活性サプリメントを摂取しよう

ヤマブシタケ
 脳の海馬からはNGF(神経成長因子)と呼ばれるタンパク質が分泌され,脳の神経組織の形成を促すことが解明されています。

 ところがアルツハイマー病の人は,このNGFがうまく分泌されず,脳の神経組織をあらたに形成できないのです。

 したがって,NGFを増やせるならば脳の機能の低下を抑え,アルツハイマー病を予防し,脳を若返らせることが可能になります。

 しかしNGFは経口摂取や血管への注射によって取り入れようとしても脳には血液脳関門があるため,脳細胞には届きません。

 近年の研究により,ヤマブシタケに含まれるヘリセノンやエリナシンという成分が脳細胞を活性化することが発見されました。

 これらは,NGFの合成を促進させる物質として日本の研究で発見されたものです。
 
 このキノコを摂取することで,NGF合成が促進されます。このはたらきにより,脳の神経繊維があらたに形成され,脳の老化や認知症などの予防に役立つことが解明されています。